結論:偽サイトは、目ではなくパスワード管理ソフトで見分ける
先に結論を書きます。
偽サイトかどうかを、自分の目で見分けるのはもう無理だと思っています。
その代わりに私が使っている判断方法はこれです。
パスワード管理ソフトが、パスワードを出してくるかどうか。
出てくれば本物。出てこなければ、いったん手を止める。
理由は単純で、パスワード管理ソフトは、登録したときと同じアドレスでないと反応しないからです。人間の目は「それらしい文字列」に簡単にだまされますが、ソフトは一文字でも違えば無反応です。
農家の実感
「落ち着いてよく確認しましょう」という注意喚起をよく見ますが、私はあれで防げる気がしません。忙しいときほど、よく見ずにクリックします。だから「自分が気をつける」以外の方法が必要でした。
きっかけは、銀行の連携が簡単すぎたこと
先日、ドコモSMTBネット銀行(旧・住信SBIネット銀行)でdアカウントの連携をしました。
画面のボタンを押して、案内どおりに進めるだけ。あまりにもすんなり終わったので、途中で「これは偽サイトではないか」と疑いました。
銀行を名乗るメールやSMSから偽サイトに誘導されて、IDとパスワードを抜き取られる。そういう話をよく聞くようになりました。「連携してください」という案内ほど、疑ってかかった方がいいと思っています。
そのとき本物だと確認できたのが、パスワード管理ソフトが反応したことでした。
なぜ、目では見分けられないのか
見た目は、完全にコピーできます
これが一番の理由です。
本物のサイトの見た目は、そのまま複製できます。ロゴも、配色も、文言も、注意書きまで含めて丸ごとコピーできる。見た目で判断する方法は、原理的に成立しません。
アドレスも、かなり似せられます
「アドレスを確認しましょう」とよく言われます。それは正しいのですが、確認したところで見抜けないことがあります。
- ハイフンを一つ足す
- 本物のドメイン名を、別のドメインの一部として使う
- 見た目がそっくりな別の文字を混ぜる
スマホだと、アドレス欄が途中で切れて全部見えないこともあります。
私は自分の視力と注意力を、そこまで信用していません。
ここだけ押さえてください
見た目もアドレスも「似せられる」ものです。
似せられないのは、機械が照合しているアドレスの一致だけです。
だから、そこを機械に任せます。
パスワード管理ソフトが確実な理由
パスワード管理ソフトは、パスワードを保存するときに「どのアドレスで使うものか」もセットで覚えています。
だから、そのアドレスと違うページを開いた場合、候補を出してきません。
- 本物のページ → パスワードが出てくる
- 偽物のページ → 何も出てこない
人間のように「なんとなく似ているから大丈夫だろう」とは判断しません。一文字でも違えば、それは別のサイトです。
私が銀行の連携で確認できたのも、これでした。ログイン画面を開いた瞬間に、いつもどおりパスワードが出てきた。それだけで、本物だと分かりました。
「出てこない」ときにやること
一番大事なのはここです。いつも出てくるはずのパスワードが、出てこない。そのときにどうするか。
- 入力しない。手を止める
- そのページから、いったん離れる
- メールやSMSのリンクからは入り直さない
- 自分のブックマークか、公式アプリから入り直す
- そこで正常にログインできるなら、用件はそちらで済ませる
4番が肝です。案内が本物だったとしても、リンクを踏まずに自分の入口から入れば、何も損をしません。
「本物かもしれないから」とリンクを踏み直すのが、一番危ないパターンです。
農家の実感
手を止めるのは、勇気が要ります。急いでいるときは特にそうです。
ただ、急いでいるときに限って、そういうメールが来るというのも、よく考えたらおかしな話でした。
おまけではない利点:使い回しをやめられる
パスワード管理ソフトを使うと、もう一つ大きな問題が解決します。
パスワードの使い回し防止です。
覚えられないから、同じパスワードをあちこちで使う。気持ちはよく分かります。私もそうでした。
ただ、これが危ない。どこか一つのサービスからパスワードが漏れると、同じ組み合わせで他のサービスも次々に試されます。農協のサイトで使っていたものが、銀行でも使われている。そういう状態です。
パスワード管理ソフトを使えば、全部バラバラのパスワードにできます。覚える必要がないからです。
パスワード生成もしてくれます。
どこか一つ漏れても、そこだけで済む。これが本当の利点だと思っています。
私が使っているのはBitwardenです
私が使っているのはBitwarden(ビットウォーデン)です。
- 無料で使えます
- パソコンとスマホの両方で使えて、同期されます
- オープンソースで、中身が公開されています
他にも製品はありますが、私は使ったことがないので比較できません。
1Password(ワンパスワード)も優秀だと聞きます。
Bitwardenでなくても構わないと思っています。大事なのは製品選びではなく、「ドメインが一致しないと出てこない」という仕組みを味方につけることです。
一つだけ、注意点があります
いいことばかり書いてきましたが、弱点もあります。
マスターパスワード(管理ソフト自体を開くパスワード)だけは、自分で守らないといけません。
これを忘れると、中身に一切アクセスできなくなります。全部のパスワードを、一度に失います。
私は紙に書いて、家の中の決まった場所にしまってあります。デジタルで守るものを、最後は紙で守る。妙な話ですが、これが現実的だと思っています。
家族に、在り処を伝えておく
これは相続を経験した者として書いておきたいことです。
私は父から園地などを引き継ぎました。そのとき、書類や手続きでずいぶん手間がかかりました。戸籍まで遡って集める必要のあるものもありました。
今は、口座も、申告も、共済の手続きも、ネットで完結するものが増えています。便利になった分、本人しか入れない場所も増えました。
もし自分に何かあったとき、家族がそこに入れなければ、手続きが止まります。
マスターパスワードをどこにしまってあるか。それだけは、家族に伝えておいた方がいいと思っています。私も、まだ十分ではありません。
農家仲間や、親に勧めるなら
最後に、伝え方の話です。
パスワード管理ソフトを勧めるとき、「全部覚えなくて済みますよ」と説明しがちです。でも、これはあまり刺さりません。紙のメモ帳で足りている人には、困っていないからです。
刺さるのはこちらだと思います。
偽サイトでは、パスワードが出てきません。
「詐欺かどうかを、自分で見分けなくていい」という言い方です。銀行を装った詐欺の話は、みんな不安に思っています。そこに効くと分かれば、話が通じやすくなります。
まとめ
- 偽サイトを目で見分けるのは、もう無理。見た目もアドレスも似せられる
- パスワード管理ソフトは、登録したアドレスでないと反応しない
- だから偽サイトではパスワードが出てこない。これが一番確実な判断材料
- いつも出てくるはずのものが出てこないときは、手を止める
- メールやSMSのリンクからは入り直さない。ブックマークか公式アプリから入る
- パスワードの使い回しをやめられるのも大きい。一つ漏れても、そこだけで済む
- 私が使っているのはBitwarden。他社製品は使っていないので比較しない
- 弱点はマスターパスワード。忘れると全部失う。紙に書いて保管する
- 家族に在り処を伝えておく。ネットで完結する手続きが増えた分、入れないと止まる
- 人に勧めるなら「覚えなくて済む」より「偽サイトでは出てこない」の方が伝わる
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ご注意
本記事は筆者が実際に使ってみた経験にもとづくものです。これだけをやれば安全になるというものではありません。二段階認証の設定など、他の対策とあわせて行ってください。ソフトの機能や料金は変更されることがありますので、導入にあたっては公式サイトで最新の情報をご確認ください。